金の台頭の基軸通貨ドルの行方

米ドル、ユーロ、円は弱さ比べで威通貨の原点回帰として「金」が浮上。世界最大の市場は為替市場から商品市場に変わるかもしれない。

基軸通貨の地位の行方と通貨としての金の台頭

そもそもユーロ創設の時点から筆者には不安があった。中世から戦争を繰り返していた国々が、米ドル覇権に反旗を翻し、地域共通通貨にまとまったのだから。それでもユーロ導入の経済的メリットを考えれば挙党一致。あえて過去にはこだわらず、団結しようというという心意気を筆者も買った。

 

根源的問題を抱えていることは承知の上であった。同じ通貨を使うのだから、金融政策は自国で自由に動かせなくなる。自分の国が不景気になっても、他の多くの国の経済は過熱気味とすれば、自分の国だけ金融緩和に走ることは許されない。

 

一方、財政政策は各国が自由に決められる。すると当然、財政政策が酷使されることになりがちだ。財政赤字も溜りがち。国債は大量発行されがち。民族性も南欧は力
ネのことなど二の次だ。「まずは人生を楽しみ、支払いのことはシエスタ(昼寝)した後でゆっくり考えようぜ」。挙げ句に財政が破たん状態になり、にっちもさっちも行かなくなればお金持ちのメルケルおばさまのもとに駆け込む。駆け込まれたドイツ国民の心理は複雑だ。「何で白分たちが身銭を切って、放蕩息子ギリシヤの尻拭いをせねばならぬのか。救済される国の方が年金受給年齢が低いなんて馬鹿な話があるか」。

 

しかし放蕩息子を離縁すれば、多分自己破産を申請しそう。そうなればユーロ村全体の信用に関わる大問題だから、ドイツも放置はできない。結局、破たん国再生必殺仕事人・IMF(国際通貨基金)の協力を仰ぐことになる。家庭内問題の処理に外部の機関を頼るということはプライドが許さなかったのだが、この際、メンツにこだわる余裕はない。

 

IMFの要求は厳しい。国全体に徹底的な緊縮を求める。公務員の給与、年金などに大ナタを振るう。当然、国民の怒りは頂点に達する。緊縮政策が果たして実行できるのか。大きな疑問符も残る。

 

国際基軸通貨の座を奪取しそこねたユーロ

そもそも緊縮政策というのはデフレ政策だ。世界同時不況からやっとの思いで抜け出たところでいきなりデフレ政策では、EU圏経済が二番底に陥りかねない。でも、そもそ倹約国家のドイツから見れば、身の丈以上の消費に走る南欧諸国にはいい薬だ、ということになる。ドイツは国民性からしても堅実そのもの。イソップ物語に讐えればアリさんだ。

 

対してギリシヤは典型的なキリギリスさん。

 

ちなみに、経済の舞台でも外交の舞台でも、ドイツの姿勢は「自分たちのことは放っておいてほしい。皆が望む通り、これからは余計なちょっかいを出さずにスイスみたいな生き方するよ」。でも、フランスのサルコジは、「もっとEUが前面に出て世界の舞台に存在感を示すべき」との考え。ここにもユーロの亀裂が見える。

 

あわよくば国際基軸通貨の座を米ドルから奪取しようと目論んだ欧州勢だが、奪取ところかオウンゴールで米ドルの存在感を逆に高める結果になってしまった。世界の投資マネーも一時は若い愛人のユーロチャンに走ったが、付き合ってみると、とんでもなくカネ使いが荒いことが判明。「やっぱり古女房が一番」と、スゴスゴ米ドルに戻ってゆく。

 

 

為替相場では序盤に発表された米6月中古住宅販売件数は予想を下回ったものの、市場の反応は限定的となった。その後、ロンドンフィキシングに絡んで対ポンドを中心に米ドル売りが強まったことが他の通貨へ波及し、ドル/円は78円73銭まで下落し本日の安値を更新した。また、21日のユーロ圏首脳会議でギリシャへの支援策が最終合意に至るとの期待感からユーロ買いが優勢となり、ユーロ/ドルは1.41ドル台後半から1.42ドル台前半へ上昇した。fx投資家はドル売り先行のスタンスをとるべきだろう。